場外試験池魚類廃水処理施設の設計について

T基本的な考え方

○魚類の飼育排水を処理(汚泥、水質浄化)し、処理水を河川へ放流する。
○沈澱池(汚泥沈澱)、生物濾過・物理濾過(水質浄化)の併用方式とする。
○河川放流の水質は、BOD5ppm以下、SS5ppm以下とする。
○河川放流水は、河川の下流環境を浄化する活性水とする。

フローシート
フローシート
…→は、メンテ時の流路

U排水処理施設の設計

1 沈澱池の設計の留意点
・自然沈澱法は効率的に不適、傾斜板沈澱法や傾斜管沈澱法は保守管理に難がある為、高密度接触法(濾材名:ヘチマジーラ)の採用を検討したい。
・濾材の取り付け・取り外しをせずに、月1回程度の逆洗だけで保守管理ができるメンテナンス・フリー方式を実現したい。
・沈澱物の回収が容易に行える構造とする。
・メンテ用に注排水路を結ぶバイパス(バルブ開閉方式)を設置する。
・各水路上面の遮断を考慮する(蓋に拘らない)。
・沈澱汚泥の腐敗を抑制する発酵菌点滴装置を設置する。

2 生物濾過・物理濾過槽の設計の留意点
・濾材の取り付け・取り外しをせずに、月1回程度の逆洗で保守管理ができるメンテナンス・フリー式を実現したい。
・沈澱物の回収が容易に行える構造とする。
・各水路の注・排水部にバルブを設置し、水が止められる構造とする。
・各水路上面の遮光を考慮する(蓋に拘らない)。
・沈澱物の腐敗を抑制する発酵菌点滴装置を設置する。

3 沈澱池
生物・物理濾過槽の規模 下記条件を参考として、水路の必要本数、水路の幅・長さ・水深、水路の傾斜等について検討したい。
(1)地下水の条件
最大取水量 5.3m3/分×60×24=7,632m3/日
(2)排水水質
通常の排水水質は、BOD3ppm、SS5ppm以下とする。
逆洗時の汚泥を効率的に引き抜き、消滅装置に圧送する方式を採用する。
しかし、通常運転では逆洗も不要!というシステムを目指したい。
(3)設計条件数値
・試験池の面積:200m2
・魚類飼育量:飼育密度を3kgm3/日 とすると、約600kg
想定排出量:200m3の試験池の魚600kg×飼料0.02×排泄量0.2×30=72kg
・上記の想定排出量以外の排出物として、飼育池で生成される緑藻類やアオコがある。これを加えて、想定排出量の全量は100kg/月として設計計算をすすめたい。

V汚泥処理

沈澱池、生物濾過・物理濾過の沈澱汚泥はバルブを通じて引き抜き、汚泥消滅装置(ERS-7、商品名:ドランコ)で消滅させる。(これは、産業廃棄物を出さない!というゼロ・エミッションの理想を達成する為である。)

W 沈澱池、生物・物理濾過槽の仕様計算

1 排水量の計算
・試験池は面積が200u、深さが1mであるから、容積は200m3である。
・この試験池に容積の20%(鯉、鮒)〜50%(鮎)の井水を注水すると、排水量は40m3〜100m3となる。以後は100m3/日で計算をすすめたい。

2 沈澱池の容量計算
・100m3/日の排水量は、4.2m3/時となる。
・滞留時間(=ヘチマジーラの接触時間)は、5時間とする。
・よって、沈澱池の容量は20m3とする。

3 物理濾過槽(ジーラタワー)
・SS値を3ppm以下にするため、物理濾過槽(ジーラタワー)を設置する。
・杉材チップを特殊加工した濾材(商品名:ジーラ剤)を使用する。
・濾材の充填容量は排水量の10%=10m3とする。
・ジーラタワーは、沈澱池、生物濾過槽に1基づつ付設する。

4 生物濾過槽の容量計算
・滞留時間(=処理時間)は、10時間とする。
・4.2m3/時×10時間≒50m3
・最終沈殿槽の容量計算:滞留2.5時間×4.2m3/時≒10m3

5 汚泥消滅装置(ERS-7A-50)
・杉材チップを特殊加工した濾材(商品名:ジーラ剤)を菌床とし、ここで大量に発生する嫌気性分解菌により汚泥を分解・消滅する装置。
・これにより、薬剤を使用して脱水ケーキをつくり、それをまた産廃業者に委託して焼却処分する・・・といったことがなくなり、ゼロエミッションが実現できる。

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